「ヤヨイ、入るよ」
ガチャ。ヤヨイが振り返る。
「おはよう。上庭に戻ってきてから調子はどうだい?」
「ふつうだよ。シエ、何しにきたの?」
「そんな大した用じゃないよ。ヤヨイ、今日はどこに行くつもりだい?」
「、、、」
「ヤヨイのことだから、今日ぐらいから中庭に降りて、ゲートの手がかりを探しにいくんじゃないかと思ってさ」
ピクッとヤヨイの身体が動いた。
「別に止めはしないよ。でも、中庭に降りるならユウやカイ君達も連れて行きな。その方が調査も捗るだろ?」
「ゲートのことは、皆んなには関係ない。私1人で探す。」
「『関係ない』はゲートに失礼じゃないか。それともヤヨイのエゴかな?ゲートはこの城でも優秀な使いだった。そしてあの日以来、ゲートの姿を見たものはいない。ゲートの行方はこの城の者全員が関わる大きな問題だよ。もちろん、主な調査はヤヨイに任せる。少しでも情報が入ったら教えるよ。だから、ヤヨイもユウ達を連れて調査に行っておくれ。何があるか分からない。もしかしたら、下庭の者に捕えられている、かも知れないだろ?」
「、、分かった。」
「ありがとう。今日からでも行くといい。いつもの庭でみんな修行しているはずだよ。
じゃあ僕はもう行くね。気をつけていってらっしゃい」
バタン。
「、、、。」
「お?、、あ!ヤヨイじゃんか!おーい!どうしたのー?久しぶりじゃーん!」
リンの声で皆がヤヨイの方へ振り向く。
ヤヨイはクロードの方へ歩いていく。
「兄さん」
「どうした?」
「中庭へ、降りようと思います。」
「、、、分かった。お前達、集まれ。」
「今日は、お前達に中庭の調査に行ってもらう。」
「討伐ではなく、ですか」
「そうだ。目的は、ゲートの行方の手がかりを探すことだ」
一斉に空気が重くなる。
「はっ!あいつが今ごろどこで何してるかなんて分かるわけ、、、。
、、探して見つかんのかよ。」
ヤヨイの無言の圧を感じながらも、ガルは目を見て言った。
「見つかるかは分からない。でも、何かしら手がかりは探し出す。」