ヤヨイの小説、エッセイ(毎日投稿)

心の中で育てたヤヨイの物語です。

小説メモ15「ヤヨイの3世界」

「ヤヨイ、入るよ」

ガチャ。ヤヨイが振り返る。

「おはよう。上庭に戻ってきてから調子はどうだい?」

 

「ふつうだよ。シエ、何しにきたの?」

「そんな大した用じゃないよ。ヤヨイ、今日はどこに行くつもりだい?」

「、、、」

「ヤヨイのことだから、今日ぐらいから中庭に降りて、ゲートの手がかりを探しにいくんじゃないかと思ってさ」

ピクッとヤヨイの身体が動いた。

 

「別に止めはしないよ。でも、中庭に降りるならユウやカイ君達も連れて行きな。その方が調査も捗るだろ?」

「ゲートのことは、皆んなには関係ない。私1人で探す。」

「『関係ない』はゲートに失礼じゃないか。それともヤヨイのエゴかな?ゲートはこの城でも優秀な使いだった。そしてあの日以来、ゲートの姿を見たものはいない。ゲートの行方はこの城の者全員が関わる大きな問題だよ。もちろん、主な調査はヤヨイに任せる。少しでも情報が入ったら教えるよ。だから、ヤヨイもユウ達を連れて調査に行っておくれ。何があるか分からない。もしかしたら、下庭の者に捕えられている、かも知れないだろ?」

 

「、、分かった。」

 

「ありがとう。今日からでも行くといい。いつもの庭でみんな修行しているはずだよ。

じゃあ僕はもう行くね。気をつけていってらっしゃい」

バタン。

 

「、、、。」

 

 

「お?、、あ!ヤヨイじゃんか!おーい!どうしたのー?久しぶりじゃーん!」

リンの声で皆がヤヨイの方へ振り向く。

ヤヨイはクロードの方へ歩いていく。

「兄さん」

「どうした?」

「中庭へ、降りようと思います。」

「、、、分かった。お前達、集まれ。」

 

「今日は、お前達に中庭の調査に行ってもらう。」

「討伐ではなく、ですか」

「そうだ。目的は、ゲートの行方の手がかりを探すことだ」

一斉に空気が重くなる。

「はっ!あいつが今ごろどこで何してるかなんて分かるわけ、、、。

、、探して見つかんのかよ。」

ヤヨイの無言の圧を感じながらも、ガルは目を見て言った。

「見つかるかは分からない。でも、何かしら手がかりは探し出す。」