ユウとカナエがヤヨイを探している時、突然叫び声が聞こえた
「!!」
叫び声の方を向き、そして顔を見合わせて、「急ぐぞ!」というユウの言葉と共に走り出す。
叫び声の元に辿り着くと、そこには頭を抱えて座り込み、何かを振り払うように頭を振りながら苦しそうな呻き声をあげているヤヨイと、その他全ての景色が赤く染まっている光景。下庭人の血が、水たまりに溶けていたり、ぐちゃぐちゃの地面に汚らしく飛び散っていた。
ユウとカナエが駆け寄り、「ヤヨイ!落ち着け!」と呼びかける
ヤヨイが正気に戻る様子がない。ユウがヤヨイを抱えて、飛んで連れて帰る。ユウの腕の中で小さく呻いているヤヨイに、「大丈夫、大丈夫」と声をかけながら、抱き抱える腕には力が入った。
城に帰った頃には、ヤヨイは気を失っていた。
「シエルさん。今すぐヤヨイを見てやってください」
「ん?ユウか。、、、。話は後で聞かせてもらうよ。」
起き上がる。
何か、夢を見ていた気がする。どこか遠くにいる、でも現実に起きそうな、夢を。その内容は思い出せない。
ここは、病室だ。
「起きたかい」
右を見ると、シエルがいた。
「3日目を覚さなかったよ」
「そう、、、」
「ゲートはどこにいるの?」
「え?」
あまりにも突拍子な質問に、シエルは驚いた。
「ヤヨイ、ゲートは今はいないよ。見つかっていないんだ」
「、、、」
「ゲートを見つけなきゃ」
「今日は安静にしてなきゃダメだよ」
「ヤヨイ、気を失った前のこと、何があったか覚えているかい?」
「、、、覚えていない」
本当に覚えていないのか、それともウソなのか、シエルには分からなかった。
「そうか。下庭人とは会ったかい?」
「分からない」
ヤヨイは今何を考えているのだろう。自分にかかっている布団の一点を見つめて、何かを思い返しているみたいだ。ヤヨイの頭の中に今どんな光景が映っているのかは分からない。ただそんなヤヨイを、シエルはただ見ていた。