ヤヨイの小説、エッセイ(毎日投稿)

心の中で育てたヤヨイの物語です。

ヤヨイの介入

その神の子ヤヨイは、東北の地に住む家庭の次女に入ることとなった。

 

その女は、「らん」という名前で、父子家庭に育つ子供だった。

 

らんは、父と兄と暮らし、学校では勉強もスポーツも成績優秀で周りからの厚い信頼があった。

 

らんが高校に進学すると、父と暮らした実家を離れ、母の実家に移り、母と生活するようになる。

らんにとっては進学と移住という新しい環境がとてもストレスが溜まるもので、世界に絶望していた。

 

しかしらんは作り出す、己の中に、理想郷を。

作り出したというよりかは、気付き始めたという方が正しい。

今までは外の世界に精一杯だったものの、苦しみをきっかけに己の中身へと注意を向け、思考を続けた結果、現実世界の出口を発見したようだ。

それはつまり、ヤヨイが入り込んだことに、自覚こそしていないものの、超常的な、宗教的な、スピリチュアルな、神秘的な思考が自分の頭に流れていることに気がついた。

 

そしてらんは、偶然だろうか、その神秘的な思考がたいそう気に入ったようで、家で横になって寝ている時は、外の世界で起きている事象ではなく、頭の中へと注意を巡らせては、神秘的な思考を楽しむようになった。